『星の王子さま』(著:サン=テグジュペリ)
「愛」って、なんだと思いますか?
あなたに「愛する人」はいますか?
『星の王子さま』の最も重要なテーマは「愛」です。
僕は大学1年の頃、大恋愛からの失恋を経験してから「本当の「愛」ってなんだろう?」と考えてきました。
僕の問いへの“一つの答え”が、本書に在りました。この記事を読めば、愛の真髄を知ることができます。いま、恋愛で悩んでいる人に読んでもらいたいです。
星の王子さま、自分の星でバラの世話をする
王子が住む小惑星B612には、たった1輪のバラがいる。その美しさに見惚れ、王子はバラと恋愛関係を育んだ。
毎日のように水をあげ、寒い夜にはガラスのおおいを被せてあげた。
王子の優しさに付け入るように、バラは傲慢になっていった。
要求はエスカレートし、とうとう王子はバラのことが嫌いになってしまった。もう一緒にはいられないと考えた王子は、旅に出る。これが、6つの惑星への旅の経緯だ。
星の王子さま、地球に降り立つ
6つの惑星を訪問した後、星の王子さまは地球を訪れる。王子は砂漠で、不時着したパイロットと出会う。このパイロットが作者のサン=テグジュペリだ。
※『星の王子さま』の物語は、パイロットである作者が、王子から聞いた話がベースとなっている。
ここから、本当の「愛」のストーリーが始まる。
星の王子さま、たくさんのバラに出会う
王子は、バラ園に遭遇する。そこにはたくさんのバラがいた。王子は失望した。バラはこの世に1輪(1人)しかいないと思っていたのに、こんなにもたくさん存在していただなんて。
星の王子さま、キツネに出会い、絆を育む
落ち込む王子の前に、キツネが現れた。王子は一緒に遊ぶことを提案するが、拒否されてしまう。
その理由は、「なついていないから」(人間同士でもいきなりぐいぐい来られたらやだよね)。そこから1人と1匹は徐々に「絆」を深めていく。
星の王子さま、キツネとの別れ
「絆」が深まり、すっかり仲良くなった1人と1匹。でも時間切れ。王子は星に帰る時間だ。1人と1匹は別れを惜しむ。
「こんなことなら「絆」を作らなければよかった」と王子は言う。
キツネは、反論として「麦畑の色」の話をする。
キツネはパンを食べないから、麦畑を見ても何も思わない。
でも、王子は金色の髪をしているから、金色に輝く麦畑を見るたびに王子のことを考える。
いままで漫然と見ていた風景。大切な人ができることによって、その風景が全く違う見え方になるのだ。
キツネが伝えたいメッセージ
いちばんたいせつなことは、目に見えない。
キツネは、王子にこう言う。
自分の星にいたバラがたった1輪(1人)の、かけがえのない存在であると思っていた王子。しかし、地球でたくさんのバラに出会い、落胆した。
キツネは「王子の星にいたバラは、たしかにかけがえのない存在である」と言う。
そのバラをかけがえのない存在にしたのは、そのバラに費やした<時間>であると。
王子は、再度たくさんのバラたちの所へ行った。
王子はそこでやっと気づいた。このバラたちは僕には全部同じに見える。僕はここにいるどのバラとも「絆」を育んでいない。
僕は君たちのためには死ねない。みんな美しいけど、中身はからっぽ。僕が毎日水をあげ、ガラスのおおいをかけたのは、自分の星にいるバラだけだ。
そう、本当の「愛」は、対象に費やした時間によって育まれるんだ。
いま、恋愛で悩んでいる人たちへ
恋人がいるのに他の人に目移りしてしまう。そう、そこのあなた。
あなたにとって「いちばんたいせつな人」は
・その通りすがりの美女・イケメン?
・あなたが時間を使って尽くしてあげた彼女・彼氏?
通りすがりの男・女=「たくさんのバラ」
時間を使って尽くしてあげた恋人=「王子の星のバラ」
を意味しています。
バラの話の重要なメッセージ:
「<運命の人>は突然現れるのではなく、時間をかけた相手が<運命の人>に変わっていく」
恋人が<運命の人>ではないと思うのではなく、その人のために時間を使うことによって、その人を<運命の人>にしましょう。
でも具体的に、恋人に時間を使うってどういうこと?
・LINEの返事をする
・デートプランを考える
・デートする
・誕生日プレゼントを考える
・それを買うためにバイトをする
・その人が何をしてるかな、と考える
これらすべて、恋人のために使う時間です。こういう時間、大切にしてますか?
番外編: 僕の頭に浮かんだ2曲
今回の話で思い出した2曲。
歌詞に以下のフレーズがあります。
「永く付き合えば飽きないの?」って聞かれたら
「愛は深まる一方だ」って言ってやろう
費やした時間が愛になるというメッセージが
バラの話と似ているなと思いました。
2曲目は、松任谷由実の「気づかず過ぎた初恋」
映画版 星の王子さまの主題歌です。
雨にきらめく緑も
ふいに浮かぶポエムも
あなたのいる世界に気づいたから
「たいせつなひと」ができることで
いままで見えていた景色が変わる。
キツネの「麦色の畑」の話の
メッセージに似ていると思いました。
最後に
『星の王子さま』には物語しか書かれていません。
読者は「ここはどういう意味なんだろう?」と考えながら読むことになります。その上で過去の経験が重要な鍵となります。
『星の王子さま』は読者の、これまでの経験が問われる作品だと思います。
解釈が人それぞれになる作品だからこそ、みなさんに読んでもらいたいです。
第1回「6つの惑星の住人」
第2回「バラの話」「麦畑の色」
最後まで読んでいただきありがとうございました!
てぃーけ
- 作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,河野万里子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 文庫
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